section01:
大学の5年間、ずっと毎日麻雀をやっていました(片山)
来生:僕は、今年でデビュー30周年になるんですよ。それで、何か色々とやってみようということで、ホームページで自分の趣味について紹介してみようと思ったんです。その第1回が麻雀。ここ数年、テレビでプロの対局を見ていて、色々と、素朴な疑問というか……プロの方に、そういうことを聞きたいな、と。まあ、麻雀の世界を知らないから下世話になっちゃうかもしれないけど。
小松:自分がやると決めたら、自分で勝手に連絡を取りますから(笑)。いきなり僕に電話をしてきて、「31日は空いてる?」って話ですからね(笑)。
来生:片山さんは、本職は漫画家だよね?
片山:はい。
来生:でも、めちゃくちゃ麻雀が好きで……。
片山:そうですね。漫画家の中では一番好きですね。間違いないです。
来生:とりあえず、麻雀にハマったきっかけみたいなことを。麻雀をやり始めたのは、いつ頃?
片山:僕は高校の時ですかね。友達と「麻雀でもやろうか」っていうことで、みんなでルール・ブックを買って。
来生:え?他の人も知らなかったの?
片山:全員、知らなかったんですよ。
来生:珍しいね。
片山:高校1年生の時です。悪い友達がいっぱいいまして。
来生:麻雀牌はあったの?
片山:うちには、おやじの麻雀牌があったんですよ。それで、それぞれ本を買って、ルールを覚えてこようと。一晩でルールを覚えて、次の日からやりだしたんですよ。そうしたら、面白くて、面白くて。高校の時は、週末になるたびにうちに集まって、麻雀ばかりやっていたんですよ。
来生:そうなんだ。
片山:高校には良い成績で入ったのに、麻雀ばかりやっていたから成績がすごく下がって(笑)。先生にすごく怒られた。で、ちょっと反省して、高校3年の時、悪友たちに「大学受けるから、麻雀は1年間辞めるわ」って言ったんです。1年間、ちゃんと辞められたんですよ。で、大学は明治に入ったんですけど、そこからリバウンドですよ(笑)。学校には全然行かない。行けば面子を揃えて雀荘に直行。大学の5年間、ずっと毎日麻雀やっていました。
来生:毎日?
片山:本当に毎日ですよ。来生さんのテニスと同じで、とにかく毎日やりたくて。やらない日はなかったですね。
来生:漫画のほうは?
片山:大学で漫画研究会に入ったんですけど、お酒飲んで、麻雀打って終わりっていうサークルだったんです。これじゃあ漫画家にはなれない(笑)。たまに、ちょっと一人で部屋にこもって、新人賞の応募作品を描いてたんです。それで、5年生くらいの時に、小さい賞を受賞して。そこからちょっと、漫画家になろうかな、と。大学の成績も悪かったですし。5年間通って単位が20単位とか、すっごく少ない(笑)。しかも、保健体育の単位を含めてですから(笑)。
来生:漫画家としては、すぐに認められたわけだ。
片山:なんとなく。その頃、ギャンブル漫画を描いている新人漫画家が少なかったんです。で、「片山くん、麻雀の漫画だったら連載してもいいよ」みたいな話が来て。それももう、23年くらい前の話ですね。
梶本:僕が麻雀を本格的に覚えたのは、大学生の時ですね。それまで、トランプはよくやっていたんですよ。
来生:トランプ?
梶本:セブン・ブリッジみたいなものですね。だから、順子(シュンツ)とか刻子(コーツ)っていう感覚はあったんです。大学では最初に鳥取県人の寮に入って。大学のある神戸からは離れた場所にあったんですけど、先輩たちに呼び出されて、「お前、麻雀できるのか」と言われて。で、「たぶん、わかります」って言ったら、もう毎晩呼び出されたんです。また、たちの悪いことに、なんでも遊び道具が揃っているような部屋だったんですよ。抜け番の間にファミコンで遊んだりできる。1年生の頃って、結構、たくさん授業に出なくちゃいけなくて、朝の講義はめちゃくちゃ早いんですけど、毎晩、夜中の2時、3時まで麻雀をやっていて。「これはちょっと、体がもたないな」と思って、引っ越したんです。そうしたら、今度は面子がいない。その頃、ラーメン屋でバイトをしていたんですけど、バイト仲間に神戸大学の近くにある寮の人たちがいて。「こっちの寮はいいぞ。面子がいっぱいいるから」って言うんです。「面子が一杯」って聞いた途端に、入ったばかりのワンルーム・マンションを出て、その寮に入りました。1年目は真面目に学校に行っていたので、単位も取っていたんですよ。でも、寮って、朝昼晩、常にどこかで卓が立っている。寝て、起きて、麻雀して、寝て、起きて、麻雀して……って。
片山:理想の環境だよね。
梶本:ある意味、最悪、みたいな(笑)。
来生:プロになろうと思ったのは、学生時代?
梶本:寮でも、試験期間には、さすがに面子が立たなくなるんですよ。2人は集まるけど、あとの2人が集まらない。それで、ちょっと「フリー雀荘に行こうか」ということになった。
片山:その2人は試験勉強しないの?
梶本:しない(笑)。
片山:試験勉強に背を向けた二人だ(笑)。
梶本:っていうか、余裕で「留年はしないだろう」とタカをくくっていたんですよ。で、フリー雀荘に行ってみたら、そこがまた面白くて。それからは、朝はフリー雀荘に行って、夜は寮で麻雀をやる、寝る、また朝……というサイクルになるわけですよ(笑)。やっぱり、フリー雀荘は知らない人同士でしょ。学生時代ですから、そんなにお金も持っていなくて。緊張感がありましたね。で、そうこうしているうちに、僕と一緒に行っていた先輩が、「競技会みたいなものがあるけど、出てみないか?」と誘われたんです。先輩だけが。それでムカついて(笑)。「なんで、俺も誘ってくれないんだよ」と。で、お願いして一緒に出ることになったのが、本当の入口ですね。アマチュアの競技会なんですけど、プロが指導してくれて。
来生:そこで、優勝とか、良い成績だったの?
梶本:いや、全然、良くなかった。
来生:僕の場合は、おやじが麻雀好きで、日曜日に家族麻雀をやっていたから、上がり方とか、ちょっとしたヤクとか、ある程度、大まかなルールをおやじに教えてもらった。高校生になって、中学時代の友達に詳しいヤツがいて、そこでも教えてもらった。デビューする前に事務所でアルバイトをしていたんだけど、その事務所に麻雀が好きなヤツが一杯いて、よくやったね。デビューしてからは、やる機会が少なくなって、ツアー先でイベンターの人と、年に4〜5回くらいやっていたかな。で、最近になって、MONDO21を見るようになって、面白いな、と。
高杉:見られるっていうのは、相当、麻雀がお好きなんですよね。麻雀ファンって、打つのは好きだけど、見るのは嫌いっていう人が結構多いんですよ。
来生:僕は、見るのも好き。テニスも見るのも大好きだから。ビデオに録って、何度も見るもんね。将棋も見るの好きだよ。だから、解説は結構なものだと思う。実践は弱いけど(笑)。MONDO21(注:スカイ・パーフェクTVのチャンネルで、麻雀の番組を放送している)の番組もビデオに録って、毎日見ているよ。今日は麻雀の番組がないんだけど、明日は「未来戦士」、月曜日は夕方に再放送が……。
片山:プログラムまで、全部覚えてる(笑)。
来生:今、NHKで「将棋NHK杯戦」を放送しているんだけど、麻雀もそのような形で放送してほしいね。きっと面白いと思うよ。
巡り合わせの妙が面白いよね(来生)
来生:プロになるっていうシステムは、どういうものなの?
梶本:一応、試験があるんです。
来生:試験っていうのは?
梶本:ペーパーテストとか。
来生:ペーパーテスト?
梶本:はい。それから面接、実技。ちゃんと点数計算が出来るか、とかね。当時は点数表示がない時代だったので、相手との点差がいくらかを覚えていなくちゃいけないんです。
来生:そうだよね。昔は、言っちゃいけなかったんだよね。今、いくつだとか。
梶本:プロは特にそうでしたね。今は表示されていますから、余計な神経を使わなくていい。すごく麻雀に集中できて、僕はいいと思うんですけど。
来生:一般的に、将棋もそうだけど、麻雀も、プロはそれだけで生活が成り立っているのか、知らない人が結構いるよね。昔、将棋の米長邦雄さんがタクシーに乗った時、運転手は米長さんが棋士で八段だってことを知っていて、尊敬を払いながら世間話をしていたのね。そこまではよかったんだけど、「ところで先生、お勤めはどこなんですか?」って聞かれたんだって。
片山:まだ、米長さんがあまり有名じゃない頃ですか?
来生:ある程度、有名だった時期だと思うんだけど。麻雀のプロ団体も、色々あるよね。日本麻雀連盟とか。相当な数なの?
梶本:プロ、アマ、色々な団体がありますね。
来生:そのどこかに所属するという形?
梶本:そうですね。基本的には。
来生:ちょっと下世話な話になるけど、基本的な給料っていうのはあるの?
梶本:ないんです。
来生:それはないんだ。
梶本:基本的には、団体に所属したら登録費のようなものを納めて、で、タイトル戦で勝ったら賞金が入ってくるというシステムです。
来生:ということは、それで生活していくということは……。
梶本:もう、それでは……。
片山:みんな、他の職業に就いてますよ。
来生:やっぱり、そうなんだ。
片山:麻雀だけで食べていける人っていうのは、5人いるかどうか。
梶本:打つだけで食っていけるのは、本当に2〜3人ですよ。
片山:まあ、お店を持っている人とかね、そういうのを入れちゃうと、ちょっと増えるけど。
高杉:だいたいは、本を書いたり。解説をやって名前が出ると、出版社から「本を出さない
か」って言っていただける。あるいは、片山先生と組んで、漫画の原作とか。
片山:少ないけど、麻雀に関わる仕事はあるんですよ。でも、それだけで食っていく人って
いうのは、本当に少ないですね。まだ、タイトル戦に大きいスポンサーがついてくれないので、自分たちで大会を運営して行かなくてはいけないし。
来生:優勝賞金も、そんなに高額じゃないもんね。
梶本:そうですね。
片山:G1タイトルで100万円とか。大きくて200万円だよね。将棋とか囲碁に比べたら、すごく小さい世界ですよ。
来生:大会も少ないし。当然、そういう大会には参加するんでしょ?
梶本:参加します。昔、賞金300万円の大会で決勝に進んだことがあるんです。決勝で負けて、50万円になっちゃいましたけど。
来生:ああいう大会って、優勝するまで、相当な数を打つんでしょ?
梶本:そうですね。かなり。
来生:予選で半チャン何回くらい?
梶本:予選で4回くらいです。
片山:下から勝ち上がっていくのは大変なんですよ。
梶本:1度勝つと、色々な大会でシード権がもらえて、上の方から出られるようになってくる。
片山:ランキングが上になってくるんだよね。曖昧なランキングだけど(笑)。団体によって曖昧なんだけど、1〜2回、G1タイトルを取ると、すごく有利になるんですよ。
来生:G1っていうのは何?
片山:Gはグレードの略です。競馬の言い方なんですけど。
高杉:別にどれがG1って決まっているわけではないんですけど、なんとなく麻雀関係者の誰もが知っているタイトルっていうのが4〜5つあるんですよ。
片山:賞金の額や取り上げるメディアの数で、格が上だな、という大会ですね。
来生:2位にも賞金は出るの?
梶本:一応は出ますけど。まあ、雀の涙かな。それに2位だと名前が残らないんですよね。
来生:とにかく、優勝しないと。
片山:優勝しなかったら2位も4位も同じっていうのが、この業界の考え方なんです。やっぱり、名前を残したい、業界内で認められたいっていう意識がすごく強いよね。
梶本:そうですね。
来生:MONDO21って、結構、見ている人、多いでしょ?面白いよね。
片山:打ちたくなりませんか?見ていて。
来生:なるなる。
片山:放送を見ていると、原稿のネタでこういう戦法が使えるな、と思って、とりあえず試したくなるんですよ。
梶本:ビデオで録っておくと、後で何回も見られるっていうところがいいですね。一回見るだけだと、流れで見ちゃうから、結構スルーしているところがあるんですけど。リピート見ると、結構面白いですよ。結果は知っていても、過程がね。
来生:そうそう、巡り合わせの妙がすごく面白いと思うんだよね。
片山:過程が楽しめるっていうのは、ありますね。