section03:
プロ同士は牌で会話しているんですよ(梶本)
来生:伊藤優孝プロとか、土田浩翔プロっていうのは、第1打が、字牌を切らない。
片山:よくご存知ですね。
来生:どういうことなのかはわからないんだけど、小島プロが解説で「馬鹿じゃないか」とか言ってたよね(笑)。例えば、北と南、どちらかを切れば、ダブリで七対子(チートイツ)ドラドラでテンパイだっていう時に、切らないわけ。
片山:土田さんは切らないですね。優孝さんは切りますけど。
来生:それはやっぱり、そこまでやっているんなら、切ってほしくないと思うわけ。第1打は常に……。
片山:優孝さんは、結構曖昧だから。
梶本:優孝さんは、ドラとかも切っちゃいますから。割といい加減(笑)。土田さんは面白いこと言いますね、結構。
片山:今日、来た時の方角がどうのこうの、とかね(笑)。
来生:かなりこだわるんだ、そういうことに。
梶本:視聴者を意識してるんですよね。
来生:サイコロの目っていうのも、かなり気にするでしょ。
高杉:6が出ても、2と4の6と、1と5の6では違うっておっしゃっていますね(笑)。
片山:その続きは、聞きたくないよ、俺(笑)。
来生:そのへんのスペシャリストって、七対子を残す時の牌っていうのも、すごくこだわるでしょ。
片山:七対子については、ありますね。それはもう、間違いない。チートイ上手は麻雀上手ですからね。要するに、山にどの牌が残っているかを読んでいるわけですから。
来生:そうだよね。
片山:山読み、すなわち手牌読みですから。人の手牌がどう構成されているか。それがピタっとハマって、人より何割か多く上がれちゃうわけですよ。安藤さんは、チートイがすごく上手でしたね。チートイ、チートイで名人取ったこともありますから。ダメな時って、チートイになっちゃうじゃないですか。その時に上がりを拾えるっていう武器。安藤さんは泣いてばかりじゃないな、と。
来生:小島さんも、ずいぶん元気だよね。
梶本:元気ですね。ちょっと、最近は弱気かなとも思うんですけどね。70歳前になろうっていうのに、あれだけ麻雀が達者だっていうのもすごい。
片山:まだ70歳になっていないんだ。それもちょっとビックリだけど(笑)。
来生:プロの考え方って……例えば翻牌(ファンパイ)って、残すじゃない。本当に自分の手牌がメンタンピン系ですごく良い手だった場合は翻牌を切ることがあるけど、そうでないと大体残すよね。
梶本:そうですね。
来生:あれも良し悪しじゃない? 残したために1巡ずれて、結局、自分がテンパって、それを振ったら当っちゃう。その前に切っておけば、セーフだったのに、っていう。プロは、それはそれでしょうがないんだっていう感じ? 先に切って、相手にテンパイを早めさせる方が良くなくて、そっちが優先って考えているの?
梶本:そこに関しては色々とあるんですけど、個人個人で全然違うでしょうね。先に泣かれて、様子を見たい。その局面をはっきりさせるために、字牌を先に切る人もいる。僕なんかも、割とそうなんですよ。仕掛けてくる人っていうのは、例えばドラがトイツで入っていたりとか、色々と理由があるわけじゃないですか。そこをはっきりさせると対応がしやすいと思うから、わざと僕は切るんです。だけど、それを嫌がる人もいますよね。麻雀のプロの中でも、早く切りたい人とか。あとは作戦ね。普段は全然切らないけど、ちょっと鬱陶しい親がいると、「ちょっとお前ら、いけよ」みたいな感じで。「ほら、泣け、ほら、泣け」みたいな感じ。
高杉:誰か、この親、蹴ってくれみたいな。
小松:ドラは切っちゃいけないんですか。
梶本:いや、そんなことはないですよ。
来生:やっぱりね、自分が良い手であれば切るんだよ。そうじゃないと、極力切らないね。
梶本:これは僕の考え方なんですけど、ドラ切って泣かれても、別に責任とか、そういうことはまるで考えないですね。
小松:誰かが一番先にドラ切って、セーフだったら、また次の人も出すとか。そういうシーンっていうのは、よくあるんですか?
梶本:すぐ切ると、一緒に合わせちゃうと、あの緊張感がなくなるという……要は、切った人もドキドキなんですよ。周りの人も、その人を見るわけで。切った人にとっては、合わせてくれた方が楽なわけですよ。「ああ、もうドラ持っているヤツがいない」って。それをわざわざ出さない。合わせ打ちしない。結構、怖いですよね、暗刻(アンコ)かもしれないって。もしかしたら、自分に重なるかもしれないっていう期待もあるんですけど。わざわざ切らずに、切った人に対して、ただ楽にさせたんじゃね。
小松:ホッとしますもんね。
梶本:だいたい、切ってくる人ってね、もう、戦闘準備が万端なんですよ。
片山:2枚目もドラを見せちゃうと、次にその人がリーチかけてくるかもしれないじゃないですか。見せなければ、「あー、ダマテンにしようか」って思う。その心理戦ですよね、細かいですけど。プロ同士はそれがありますね。
梶本:プロ同士って、「俺はいくぞ!」とか「お前もう、引けよ! いつまでいってんだよ、その牌で」という感じで、牌で会話しているんですよ(笑)。「もう、この局は俺のものなんだよ!」と自己主張したり。