デビュー30周年 オフィシャルサイト特別企画第2回 将棋

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昔から将棋の世界に憧れているんです(来生)
来生:僕は昔から、将棋の世界に憧れているんですよ。人間関係のしがらみだとか、そういうものって、あまり関係なさそうでしょ。将棋が強くて、勝てば……。
島:そうですね。結局、シンプルですよね。
来生:僕は、サラリーマンっていうのが、全然ダメだったから。対人恐怖症とか……割と人間嫌いなところがあるんですよ。だから、将棋のそういう世界、違う世界の集団に、やっぱり魅力があって。作曲も、いい曲を書けばいいっていうのはあるんだけど、やっぱりしがらみだとか、事務所の力関係とか、色々あったりして。いい曲を書いたって、ボツになる場合があるから。でも、将棋の世界って、それがないですよね。そこが魅力のひとつかな。
島:まあ、わかりやすいですよね。確かに、色々な事情が絡まないだけに。
来生:将棋指しの仕事って、非常にピュアで魅力的だと思うんだけど、割りと人嫌いっていうタイプが多いんじゃないですか?
島:そうですね。確かに、あまり人と話すのが得意じゃないっていう方も多いですね。一種、職人的なところがありますので。ただ、長く同じメンバーで戦っていきますから、人間関係で敵を作っていると、上に行くのが厳しいということはありますよね。「この相手には負けたくない」と思われたりして、最後に頑張られちゃったりしますから。ただ、我々も、作曲される時と同じように、黙って、壁に向かってっていう……まあ、我々の場合は相手がいますけど、割と、ずっと黙ったきりでやりますから。そういう孤独な作業という意味では、似通ったところがあると思いますね。
来生:僕は、NHK杯の、米長さんと島さんの解説を楽しみにしているんです。
島:ありがとうございます。
来生:何て言うのかな……優しい感じもするんだけど、あまり偉ぶらないっていうのかな。対局者の指した手に素直に感動する、みたいな解説をしている。何か、そういうところが、すごくいい。
島:いや、いや。まあ、こればかりは、やっぱり好き嫌いがありますから。自分らしくやるしかないんですけど。結構、のめり込んじゃうんですね。僕の7〜8歳下で羽生さん(羽生義治・四冠)とか、森内くん(森内俊之・名人)っていう、素晴らしい世代がいますけど、棋士になって良かったことのひとつは、彼らと同じ土俵にいられるっていうことですね。ある種、彼らのファンですし。だから、結構、楽しい。
来生:ちょうど、中堅どころっていうか、島さんなんかの年代ですと、先輩方の将棋も結構わかるし、若手の将棋もわかるっていうんでしょうか。
島:そうですね。ただ、私も若い頃は、結構、先輩と摩擦が生じることが多かったんです。どちらかと言うと、羽生世代を早くから認めていた方なので、先輩から良く思われていない時代が長く続きまして。まあ、大変でした。
来生:解説をしていた対局で、羽生さんと……相手が誰だったか、記憶にないんだけど、結構な激戦で、羽生さんが最後に打った金が、ひん曲がっていたんですよ。ひん曲がったまま直さない。その時、島さんが「いやあ、すごい勝負でした。最後に羽生さんが打った金が曲がっているのが、それを物語っています」っていうような、印象を語ったんですね。見ているこっちも、そういう印象だったから、「ああ、こういうことを言ってくれるんだ」って。そういう記憶、ありますか?
島:なんとなく、自分が言いそうなセリフだな、という感じがしますね。
来生:金が曲がっていたっていうのは、憶えていますか?
島:曲がっていたことは、あると思いますね。ちょっと、相手までは思い出せないですけれど。
来生:あれが、すごく印象的だったんですよ。
島:解説でもそうですし、観戦して書く時もそうですけど、やっぱり棋士が書く時には、素材をいかに伝えるかっていうのは大事なことですよね。二人の対戦成績が何勝何敗だとか、今こういう状態だなんていうことは一切書かずに、とにかく朝からのディテールだけを書いて、それで終わります。一種の私小説みたいな感じで書いてしまうことが多いんですけど、そういうのがスタイルになっちゃっていますね。ただ、解説は、どうしても難しくなりがちなので、できるだけ易しくやらなきゃいけないかな、と思っています。
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section02: 小学生の頃、クラシックギターの教室に通っていたんです(島)
introduction: 登場人物紹介