section04:
昔は徹夜で作曲していたけど、 今は2時間ぐらいで、もうダメ(来生)

【椎名さん登場】
椎名:こんばんは。観戦記者の椎名と申します。
島:彼は、今、日本のナンバーワン観戦記者です。将棋の記者で、一番、名文を書く記者でもありますし、プロボーラーでもあります。
来生:昔、ボーリングにはまったことがありました。一日30ゲーム以上やったりして。
椎名:それはすごいですね。
来生:それも、一人で。1ゲーム100円の頃だったかな。ブームから、ちょっと下火になって安くなった頃でした。
椎名:30ゲーム以上っていうことは、6時間とか7時間とか……。
来生:指がボロボロになりましたよ。
島:でしょうね。何かに憑かれたように投げ続けたんでしょうね。
来生:そうですね。
島:椎名さんに聞いて驚いたんですけど、ボーリングのプロテストは過酷なんですよね。1日、何ゲーム投げるんでしたっけ?
椎名:15ゲームを4日間。それも一次、二次っていうのがあるので、トータルで120ゲームですね。
小松:観戦記者っていうのは、どういうものなんですか?
島:大変厳しい作業なんですよ。新聞の将棋欄に載せるための記事を書くんですけど、例えば、我々が素材を出して、それを調理してくれる方が観戦記者です。素材だけでは食べられないので、解説を聞いたりとか、対局の様子を書いてくれる観戦記者が必要なんです。
小松:ずっと対局を見ていらっしゃる?
島:見に行くのも仕事なんですけど、終わった後の反省会が1時間とか2時間ありますから、それを聞くのも仕事ですし。今日、帰ってから書くのも仕事という、非常に厳しい……。
椎名:いやぁ、厳しいっていうか……将棋ファンの人から見たら、うらやましい仕事をやっているわけなんですけど。
島:立ちっぱなしも辛いですけど、座りっぱなしも結構辛いんですよね、実は。私が奨励会の三段からプロになった時、一番困ったのはそれですね。奨励会は、1人の持ち時間が1時間なんですよ。でも、プロになったら、いきなり6時間ある。途方に暮れましたね。考える材料がないんですよ、6時間も。だから、最初の頃は、時間をほとんど使わなかったですね。
来生:ずっと正座ですか?
島:いや、胡坐をかいてもいいんですけどね。でも、座っていること自体が、結構、苦痛になっていましたね、少年の頃は。段々、慣れてきて、今では大丈夫なんですけど、体力戦ですね、やっぱり。
来生:思考する体力がないと、途中で「もう、いいや」ってなっちゃう。
島:クリエイティブな仕事をしていく時には、まず体力があって、その上に根気と集中力が根付いて、良い作品が生まれてくると思うんです。作曲でも将棋でも、文章を書かれる時でも、結局、元は体力ではないかな、と思いますね。
来生:そうですよね。僕も昔は徹夜で作曲していたけど、今は2時間ぐらいで、もうダメ(笑)。休まなきゃ、飽きちゃう。
島:煮詰まる時があるんですよね、プロでも。そういう時は、休んだりしながら?
来生:そうそう。昔は、いつの間にか夜が明けたりしても平気だったんですけど。今はもう、疲れちゃって。
島:わかりますよ。我々も、詰め将棋を考えていても、やっぱりちょっと、さすがに若い頃みたいに10時間考えるとか、しないですね。
来生:島さんの趣味っていうか、他の楽しみは?
島:趣味はなんでしょうね……椎名さんと遊んだりとか(笑)。
来生:麻雀とか?
島:4〜5日前に、森内名人と、椎名さんと、2時間ほど麻雀を打ちに新宿に行きましたね。楽しかったです。
来生:森内名人も麻雀をやるんですか?
椎名:好きなんですよ。
島:森内名人は、今日、羽生さんと対局していますね。名人戦ですから、勝つと来年の対局料も約束されますし、名人位として名乗れます。名人位から落ちると、下のA級リーグで戦わなくてはならない。A級リーグで勝つのも大変なんです。ですから、今日は金額に換算できない大勝負をやっているんですけど、森内名人も、大勝負の4〜5日前に息抜きをしたくなったんじゃないでしょうか。