40th Anniversary | 40周年記念特集

「あぁ!アァ!嗚呼!」

 先の見えない日々が続いています。ここまで長いと、さすがにストレスが溜まりますね。ようやく、去年のライブの振替公演ができるようになりましたが、予定が決まっても、延期や中止になるかもしれないという状況に変わりはなく、モチベーションを保つのが大変でした。関わっているスタッフも大変ですから、ここまで無事に開催できて、本当に良かったと思っています。
 ライブのないときは、ほとんど家にいます。かみさんの買い物につきあったり、月に何度か外食はしますけど。外食といっても、回転寿司とか、ファミリーレストランです(笑)。
空いている3時くらいに行って、食べたらすぐに帰ってくる。ちなみに、ロイヤルホストのハンバーグがお気に入りです。外食産業も、この先、どうなってしまうんでしょう。航空会社も、観光業界もそうですけど、今は鎖国のような状況になっているわけで、外国人客からの売上は見込めない。日本人だけでは、とても賄いきれないですから。コンサートだって、人数制限していたら続けられません。やはり、ワクチンの普及を待つしかないのでしょうか。それにしても、街に出ると、ほぼ100%、みんながマスクをしているという光景は、やはり異常ですよね。それでも感染するって、いったい、何が悪いのか。コンパクトな機械でコロナウイルスを検出することができればいいんですけど。「このドアノブは触っちゃいけない」とか分かるから。

 最近は、年齢を感じることが多いです。3月の終わりから4月にかけて、少しライブの間が空いたんですけど、どっと疲れが出てしまって。これまでにないような疲労感で、やはり年齢かなと。もう70歳ですからね。ここまでやってきたことが信じられない。「いつまで続けるんだろう」と思うこともありますが、まだ声は出ていますから。それが一番の判断材料でしょうか。上手く歌えなくなったら、そこまでだと。70歳を超えると免許の更新も大変なんです。2年ごとの更新になって、教習所で10分くらい運転させられる。まあ、僕は免許を取ったのが48歳のときですし、まだ運転を止める気はない。今は、どこに行くのも車ですからね。
 年齢と言えば、我が家の愛犬、ミミは20歳になりました。人間だと100歳を超えているんですが、去年11月に膀胱がんと診断されたんです。自分で排尿できなくなってしまったので、朝晩の2回、毎日、病院で抜いてもらっています。診断されたときは、余命3カ月と言われたんですが、もう4カ月、頑張ってくれています。家の中だけですが、歩くこともできるし、食欲もある。ただ、ドッグフードは、ほとんど食べなくなってしまったので、好物のカマボコをあげたり。焼き鳥のレバーとか、沢庵とか、人間と同じものが好きなんです。犬には良くないって分かってるんですけど、それで20年生きていますから(笑)。もう覚悟はしているんですが、これだけ長く生きてくれたから、最後は苦しまなければいいなと思っています。
 

 この年齢になると、やはり老いや死について考えずにはいられないですね。最近、山田風太郎の作品をよく読んでいるんですが、60歳を過ぎて書かれた作品には、老いていくこと、死ぬことがリアルに描かれています。中でも、「人間臨終図巻」はすごい。1,000人ぐらいの有名人の死に際の様子をまとめた分厚い本で、それを読むと、結局、死ぬのは大変なんだと。「安らかに」なんていうのは、まずないのだと痛感します。「あと千回の晩飯」というエッセイも、全体の70%は死と老化についてです。同じくエッセイの「半身棺桶」や、対話集の「コレデオシマイ。」など、後期に書かれた作品は、どれも興味深いですね。山田風太郎以外では、向田邦子、山田太一、山口瞳などのエッセイが好きです。小説と違って、エッセイには、死生観や人生観が割と本音で書かれていますから。自分と同じくらいの年齢のとき、彼らがどういうことを考えていたのか、すごく関心があるんです。

 Acoustic Tracksの振替公演は、あと1本、6月の八王子が残っていますが、その前後にレコーディングを行う予定です。本来、今年の3~4月にAcoustic Tracksの新しいツアーを予定していたのですが、去年のツアーが1年延期になって、この時期と重なってしまったので、改めて8月からツアーを行うことにしました。新しいCDは、このツアーに合わせてリリースします。他のシンガーに提供した曲のセルフカバーと、自分の楽曲のリメイク版を収録する予定で、少しマニアックな内容になるかもしれません。特にセルフカバーは、今までライブでも歌ったことのない曲を選ぼうと思っています。80年代のアイドルブームのころに書いた曲などを、今、聴きまくって選曲しているのですが、書いたことを忘れていた曲もあって(笑)。僕のファンの皆さんには新鮮な、そのアイドルのファンの方には懐かしい、そんなCDになればと思っています。楽しみにしていてください。

(2021年4月・談)


トークセッションVol.1  トークセッションVol.2
「日日是好日」
「タバコについて」
「光陰矢の如し」
「人生はペーソスだな」
「犬も歩けば・・・」
「喉元過ぎても来生たかお」
「断捨離始めました」
「僕が好きな映画(洋画編)」
「散る桜、残るサクラも散る桜 嗚呼!」
「志村けんさんの死」
「雑文」
「日々是憂日」
「気分は重(おも)」
「あぁ!アァ!嗚呼!」【new!】